二月
みなかみにふとひらめくは、 月魄の尾根や過ぎけん。
橋の燈(ひ)も顫ひ落ちよと、 まだき吹くみなみ風かな。
あゝ梵の聖衆を遠み、 たよりなく春は来(く)らしを。
電線の喚びの底を、 うちどもり水はながるゝ。