大森山の右肩に

   二十日の月ののぼるころ

   棒の硫黄をうち積みて

   峡の広場をいで立ちぬ

 

   馬は頭をうち垂れて

   かのましろなるきり岸を

   月のあかりにあゆみしに

   川あをじろく鳴りにけり

 

   東しらみて野に入れば

   をちこち春の鳥なきて

   はや起きたてる村人や

   霧ほのじろく流れけり

 

 


次の草稿形態へ→