〔水楢松にまじらふは〕

   

   「水楢松にまじらふは、    クロスワードのすがたかな。」

    誰かやさしくもの云ひて、  えらひはなくて風吹けり。

   

   「かしこに立てる楢の木は、  片枝青くしげりして、

    パンの神にもふさはしき。」 声いらだちてさらに云ふ。

   

   「かのパスを見よ葉桜の、   列は氷雲に浮きいでて、

    なが師も説かん順列を、   緑の毬に示したり。」

   

    しばしむなしく風ふきて、  声はさびしく吐息しぬ。

    「こたび県の負債せる、   われがとがにはあらざるを。」