短夜

   

   屋台を引きて帰りくる、      目あかし町の夜なかすぎ、

   

   うつは数ふるそのひまに、     もやは浅葱とかはりけり。

   

   

   みづから塗れる伯林青(ベレンス)の、     むらをさびしく苦笑ひ、

   

   胡桃覆へる石屋根に、       いまぞねむれと入り行きぬ。

 

 


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