岩頸列

   

   西は箱ヶと(ドグ)ヶ森、       椀コ、南昌、東根の、

   古き岩頸(ネツク)の一列に、       氷霧あえかのまひるかな。

   

   からくみやこにたどりける、   芝雀は旅をものがたり、

   「その小屋掛けのうしろには、  寒げなる山にょきにょきと、

   立ちし」とばかり口つぐみ、   とみにわらひにまぎらして、

   渋茶をしげにのみしてふ、    そのことまことうべなれや。

   

   山よほのぼのひらめきて、    わびしき雲をふりはらへ、

   その雪尾根をかゞやかし、    野面のうれひを燃し(おほ)せ。