〔猥れて嘲笑めるはた寒き〕

   

   猥れて嘲笑(あざ)めるはた寒き、   凶つのまみをはらはんと

   

   かへさまた経るしろあとの、  天は遷ろふ火の鱗。

   

   

   つめたき西の風きたり、    あららにひとの秘呪とりて、

   

   粟の垂穂をうちみだし、    すすきを紅く(かゞ)やかす。