塔中秘事

   

   雪ふかきまぐさのはたけ、  玉蜀黍(きみ)漂雪(フキ)は奔りて、

   

   丘裾の脱穀塔を、      ぼうぼうとひらめき被ふ。

   

   

   歓喜天そらやよぎりし、   そが青き(あめ)の窓より、

   

   なにごとか女のわらひ、   栗鼠のごと軋りふるへる。