〔かれ草の雪とけたれば〕

   

   かれ草の雪とけたれば

   

   裾野はゆめのごとくなり

   

   みじかきマント肩はねて

   

   濁酒をさぐる税務吏や

   

   はた兄弟の馬喰の

   

   鶯いろによそほへる

   

   さては「陰気の狼」と

   

   あだなをもてる三百も

   

   みな恍惚とのぞみゐる