〔遠く琥珀のいろなして〕

   

   遠く琥珀のいろなして、  春べと見えしこの原は、

   

   枯草(くさ)をひたして雪げ水、  さゞめきしげく奔るなり。

   

   

   峯には青き雪けむり、   裾は柏の赤ばやし、

   

   雪げの水はきらめきて、  たゞひたすらにまろぶなり。