保線工手

   

   狸(マミ)の毛皮を耳にはめ、  シャブロの束に指組みて、

   

   うつろふ窓の雪のさま、   黄なるまなこに泛べたり。

   

   

   雪をおとして立つ鳥に、   妻がけはひのしるければ、

   

   仄かに笑まふたまゆらを、  松は畳めり風のそら。

 

 


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