北海道の旅(3)

 今朝は、今回の旅行ではじめて青空が広がりました。帯広から、昨日来た経路を逆にたどり、南千歳~苫小牧を経由して、 日高線の鵡川で列車を降りました。鵡川からは、バスに乗って穂別の方に向かいます。

 穂別という町は、 戦後まもない頃の村長さんが宮沢賢治を敬愛していたという縁で、「賢治観音」と呼ばれる観音像が祀られていたり、 旧国鉄の富内線が廃線になった跡地に「銀河ステーション」や「涙ぐむ眼」の花壇ができたりと、「村おこし」「町おこし」の中に、 宮沢賢治を取り入れてきた土地です。故清六氏はすでに1984年に、「穂別は北のイーハトーブです」と語っていたそうですし、 2000年の賢治学会地方セミナーも、穂別で開かれています。
 そのような穂別をいちど訪ねてみようと思ったのです。バスは鵡川という川をさかのぼり、日高山脈の裾野の方を縫って進みました。 1時間ほどして、山あいに小ぢんまりときれいな建物がならんだ穂別の町を通り、そこからさらに20分あまり奥に入ったところに、 賢治関係の施設の集まる富内地区があります。バスが旧富内駅(「銀河ステーション」と命名)の横に止まると、「涙ぐむ眼」 の花壇もすぐに見えました。

 旅行者っぽい格好をした私たちがバスを降りただけで、近所のおばさんがやって来て、まるで「サガレンと八月」みたいに、 「どこへ行くの?どこから来たの?」と尋ねます。「賢治観音」を見にきたのですと言うと、しばらく考えた後、教えてくださいました。
 正式名称を「聖観世音菩薩立像」というこの仏像は、製作者の佐藤瑞圭氏が花巻生まれの人で、自分が子どもの頃に直接に親しんだ、 賢治30歳頃の面影が刻まれているのだといいます。

 おばさんに教えられたとおり、銀河ステーションの裏手の林に向かって少し進み、その小さな観音堂をの扉を開けると、 美しい檜の一刀彫りの像がありました。この写真は、また近いうちにアップしたいと思います。