大島紀行(2)

 今日は、いい天気です。朝、箱根から電車で湯本の方に下りていくと、 すれちがう登山電車は、すべて超満員でした。 東海道線で小田原から熱海へ出て、いよいよ熱海港から大島行きの汽船に乗ります。 やはり連休ですから、船も満員です。

 賢治は、1928年6月12日に東京霊岸島の港から、大島行きの汽船に乗りました。大島までは6時間かかっていますが、 今は熱海からならば高速船で1時間です。後ろには、少しかすんだ富士山を見ることができました。

 大島の元町港に着くと、1928年に賢治が2泊滞在した伊藤兄妹の家と、大島農芸学校のあった場所を探そうと、手元の資料をもとに、 観光案内所や観光協会であれこれ尋ねてみました。伊藤七雄という人は、岩手県から大島に療養のために来たわけでこちらに係累はありませんし、 農芸学校も1931年の伊藤の死によって、開校からわずか1年足らずで消滅してしまいましたから、70年以上もたつと、 地元で知る人もなくなってしまうのは無理からぬことでしょう。
 しかし、「退職した高校の教師で郷土史に詳しい」という方などにも電話で問い合わせたりしていただいて、 どうにか大体の場所の見当はつけることができました。

 明日は、そのあたりに行って調べてみる予定です。