2001年賢治祭の旅(2)

 朝起きると、外は雲ひとつない快晴でした。ホテルの窓から見える建物すべてが朝日を浴びています。 朝食をすませると少し時間があったので、昨日の賢治祭の会場へ、レンタサイクルを借りてもう一度行ってみました。
 詩碑前の広場も、朝日を浴びていました。昨夜800人もの人が埋めた場所はすっかりきれいに片づいて、作業服を着た男の人が一人、 照明の電線をはずしているだけで した。「祭りのあと」のさびしさというよりも、すがすがしさがありました。

 詩碑前広場から下へ降りて「賢治自耕の地」を見たあと、駅前の「なはんプラザ」へ戻り、10時からは今年の「宮沢賢治賞」 「イーハトーブ賞」の発表と贈呈式を見に行きました。「宮沢賢治賞」にはあの天沢退二郎さん、「宮沢賢治賞奨励賞」 にはアラスカ大学のカレン・コリガン・テイラーさん、「イーハトーブ賞」には ますむら・ひろし さんと菊池裕さんが選ばれていました。 菊池さんは、昨夜の賢治祭でも麦藁帽子をかぶって合唱指揮に大活躍されていた方です。今日の会場でも、 やはり麦藁帽子で合唱を披露してくれました。

 昼食は、なはんプラザ近くの「ミリオン」という小さなカフェでとりました。ここのカレーは妙に本格的で、 店で作っているのではないのかもしれません。食事のあと会場に戻ると、「森羅情報サービス」の渡辺さんとお会いしました。 また会場の片隅では、花巻農業高校で作った苹果の地方発送を、なんと「ダンボール箱一つ2000円」で受け付けていたので、 一つおみやげに注文しました。

 午後からは、定期総会や「賢治研究リレー講演」がありました。講演のなかでは、木村 東吉 さんの「カーバイト倉庫」と「早春独白」を取り合わせたお話が、 私にとっては面白かったです。たしかに「カーバイト倉庫」の最後の三行には、意味深長な何かを感じますが、これを『第二集』の 「岩根橋詩群」 に結びつける解釈には、蒙を開かれ共感しました。
 このあと、会場では「イーハトーブ・サロン」という意見発表の催しや懇親会が予定されていましたが、 早めに引き上げて花巻温泉に入りました。

 今日も夕方になるとかなり冷えてきました。昨夜は寒くて閉口した夜風ですが、露天風呂につかりながらこれに吹かれるのは、 うってかわって心地よいものでした。