岩手紀行(1)

 お盆の帰省ラッシュといっしょに伊丹に向かい、ごったがえす空港でビール付きの朝食をとって、 11時25分に曇り空の花巻空港に降りました。「また来ましたよ」という感じです。

 今回は、まず花巻は素通りしてすぐ盛岡に向かいます。盛岡で列車の時間を待っているあいだに、岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校) の建物を見に行きました。ここには、賢治が在籍していた当時の建物がそのまま残されていて、国の重要文化財に指定されています。 下の写真のような素敵な建築です。
旧盛岡農林高等学校本館
 館内は、「岩手大学附属農業教育資料館」 として整備され、誰でも見学できるようになっていました。賢治がいた頃のさまざまな備品とともに、昔の立派な「校旗」 も展示されていたのが目にとまりました。学年一の優等生として「旗手」をつとめていた賢治も、手にした旗だったのかと思います。
 全体に、今の大学などには見られないような、「明治的(?)」な厳粛かつ荘重な雰囲気が漂っていたのが印象的です。「大礼服の例外的効果」 という賢治の短篇をほうふつとさせるものでした。

 それから盛岡駅に戻って「めかぶうどん」を立ち食いして、田沢湖線で雫石に向かいました。雫石では、以前に写した「屈折率」の詩碑をもう一度見たあと、 岩手山の南麓にある玄武温泉に投宿しました。日暮れ前に、葛根田川という清流に沿ってすこし歩きました。夜になると、 窓の網戸に蛍が飛んできて光っていました。

 今日の心残りは、岩手山が雲に隠れてその姿を見せてくれなかったことです。明日に期待します。