読者を中学生にする

 吉本 隆明 氏が宮澤賢治の作品を評して、次のようなことを言っていました。

「中学生」がよくかんがえる程度の空想が、あまりに真剣に卓越した詩人によって考えられているので、 読むものもまた真剣な中学生とならざるをえない。(『悲劇の解読』)

 ほんとに、まさにそのとおりだと感じます。そしてこれは、(おそらく吉本氏自身も含めて) 宮澤賢治への偏愛をいだく大人がひそかに感じている独特の気はずかしさへの、格好の担保ともなってくれる有難い言葉です。