板谷栄城『宮沢賢治の、短歌のような』

『宮沢賢治の、短歌のような』 所用で出かける電車の中で、板谷栄城著『宮沢賢治の、短歌のような』(NHKブックス)という本を読みました。賢治独特の幻想的な感受性に着目して、短歌の世界を通観してみようという本で、コンパクトにとてもよくまとまっています。
 具体的な分析には教えられるところが多かったのですが、あるひとつの表現が「幻想感覚にもとづいているか、いないのか」ということを、つねに二分論的に峻別しようとしすぎているような気もしました。
 「物質」と「観念」、「現実」と「非現実」などをも超越したところに、「心象」というものを据えて、とりあえず出発してみたのが賢治自身の方法論だったと、個人的には思っているからです。